2025年12月5日(金)

食の「危険」情報の真実

2025年6月4日

購入後の劣化に注意

 小泉進次郎農相は、農水省が開いた試食会で21~24年産(いずれも茨城県産「にじのきらめき」)を食べ比べ、「率直にどれもおいしい」と述べたが、21年産については「少し硬い」と評していた。コメは古くなればなるほど水分が抜けて乾燥が進む。このため21年産米は24年産米に比べればどうしても炊き上がりが固くなるので、この感想は妥当なものだろう。

 たとえ買ったときに高品質のコメでも、家庭での保存が悪ければ、コメは劣化しておいしくなくなる。そして、古古米や古古古米では、すでに古米臭成分が高いので、新米に比べ、劣化する速度が速い可能性がある。

 三ツ井特任教授は「劣化度合いを抑えるには、できるだけ密封して冷蔵保存するのが望ましい。ただ、湿気の多い梅雨や夏に冷蔵庫からコメを出すと、水滴が表面に付いてしまい、逆に品質劣化を早めることになる。面倒だが、冷蔵するときは小分けにし、冷蔵庫から出した後は使い切るなどの工夫も大事」とアドバイスする。

おいしく炊き上げるには

 古米臭がしたり炊き上がりが硬かったりするコメでも、工夫次第でおいしく食べることはできる。よく言われるのが、研ぐときに最初の水はサッと混ぜたらすぐ捨て、ていねいに研ぎ、すすぎをしっかりすること。

 炊くときに日本酒やみりん、昆布、氷などを入れるのもいい。氷でおいしくなるのは、炊飯時の水温を下げることでコメがゆっくり加熱され、甘み成分が引き出されやすくなるためという。

 また、最近の炊飯器にはコメの鮮度(乾燥状態)を見分けて、自動で炊き方をコントロールするものもある。あるメーカーの炊飯器は、食べたご飯のかたさや粘りの感想を入力すると、次の炊飯時に炊き方を微調整し、その家の好みのご飯に近づけてくれる。炊飯器の機能の進化に日本人の米に対する思いの強さがうかがえる。

 「平成の米騒動」では、日本が世界に流通している米を買い集めたために国際価格が高騰、貧しい国の国民に影響を与えたことが問題になり、日本の消費者がその貴重な米を捨てていることが非難された。今回の米騒動は最終的にどこに決着するのか、行方を見守りたい。

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