2025年7月16日(水)

Wedge REPORT

2025年6月13日

 砲火にさらされるキーウに3年間在勤した松田邦紀前駐ウクライナ大使が、回想録『ウクライナ戦争と外交』(時事通信社)出版を機にインタビューに応じた。前大使はウクライナ国民の勇気と冷静さをたたえ、支援の継続・強化を呼びかけた。

(Contributor /NurPhoto /gettyimages)

 ロシア、ウクライナ両国には、なお戦争継続能力があるとして、停戦、和平交渉の開始まで、さらに時間がかかるとの見通しを示した。ウクライナ国民が望まない和平を押し付けることは絶対に許されないとも強調した。

 ドローンの技術が短期間、急速に向上したことで、それが武器の中心となり、戦闘の様相が大きく変化したことを指摘、戦争終了後には平和活動への有用性に言及した。

 アメリカのトランプ政権のウクライナ支援については、大統領のロシア寄りの言動を念頭に置きながらも、米議会、欧州各国の後押しで従来通り継続されることへの期待感をにじませた。

 侵略によって戦後の国際秩序に挑戦したロシア指導部や兵士による戦争犯罪を国際法廷で厳しく裁くべきと主張。日本は、秋に主催する地雷除去の国際会議、停戦後の監視団派遣などを通じて協力し、将来の侵略防止のためにあらためて国連安全保障理事会の改革に取り組むべきと提言した。

 2023年に岸田文雄首相(当時)がキーウを訪問した際は、機密保持のため大使自らが一人で特別列車の手配など準備に当たらなければならなかったなどの秘話も明かした。


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