トランプ政権は、6月24~25日のNATO首脳会議で、NATO諸国がGDPの5%を国防に充てるべきだと要求した。NATO諸国は、スペインを除き、国防費3.5%+インフラ整備などの国防関連費用1.5%で、国防にGDPの5%を充てることに合意した。
トランプ大統領は、この決定を歴史的な決定と歓迎している。そして、この成功に気を良くして、トランプは中国の軍事力強化が進んでいるアジアにおいても、同盟国は国防関連支出をGDPの5%にすべきであると主張している。
米国が自身の国防関連支出をGDP比3%以下に抑えつつ、NATO諸国やアジアの同盟諸国にGDP比5%を求めるのは少し行き過ぎではないだろうか。現在の国際情勢はトランプ政権の政策もあって、今後の見通しが立てにくい状況にあり、国防費の増強は必要であると思うが、その急速な拡大は関係諸国の財政支出のあり方に大きな影響を与えるものであり、関係国の内政にも影響を与える。同盟国米国の意見はそれなりに尊重すべきであるが、米国の5%要求にそのまま従うようなことは避けるのが賢明であると思われる。
恐喝は効かないというメッセージを
トランプ大統領は、おそらく恐喝をするような人で、こういう人には恐喝は効かないということを示していくことが重要で、それが今後の協議を筋の通ったものにするために必要であると思われる。日本は、韓国、豪州、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国などアジアの友好国とも、トランプへの対応について意見交換をするべきだろう。
