先ごろ公表された23年の「人口動態統計」(厚生労働省)によれば、東京の出生率(合計特殊出生率)は0.99と初めて1を割り込んだ。この合計特殊出生率は1人の女性が生涯で産む子供の数を近似するものであるので、東京の女性(母親)と男性(父親)の2人から1人未満の子ども(次世代)しか生まれないことを意味し、人口の「逆ネズミ算」減少を起こしていることが分かる。
これに対して、沖縄県の合計特殊出生率は過去39年間連続して日本一となっている。
沖縄県と東京都、東北との違い
今述べた若者(0~64歳の非高齢者)の比率は、全国平均が74.9%であるのに対してトップの東京都が80.0%、2位の沖縄県が78.3%と共に高い数字であるが、その内容は異なる。東京都は出生率が低いために、全国から若者を集めて成り立っているのに対し、沖縄県は出生率そのものが高いために若者が多いといえる。実際、若者の範囲を0~14歳の子ども人口に限定すると沖縄県は全国1位である。
表1は沖縄県と東京都、東北の代表として秋田県の人口構造に関する統計をまとめたものである。出生、非高齢者関係では若者の多い沖縄県のランキングは高く、高齢化の進む秋田県のランキングは低いことが分かる。
秋田県の高齢化率が高い要因は当然に「高齢者が多いため」であるが、表1の「寿命」の行を見ると必ずしも長くなく、「長寿であるがために高齢者が多く高齢化率が高い」ということにはならない。さらに人口の「転入超過数」(転入-転出数)を見ると、出生率が低く人口流出も多い点が問題であろうことがわかる。
また、沖縄県も出生が多いにも関わらず、人口の転入超過がマイナスとなっており、人口の純転出が多いことが分かる。この点は沖縄県や秋田県と東京都の経済・就業環境の違いにより、元来出生率が低い東京都へ各地から「若者が吸い寄せられている」ことが指摘できよう。


