2025年12月5日(金)

都市vs地方 

2025年7月16日

長寿県沖縄はどこにいった!?

 沖縄県をはじめとして人口構造の内容をまとめた表1を見ると、もう一つ特徴的なことに気づかされる。それは、沖縄県の寿命がさほど高くないことである。

 沖縄県の寿命は1975年ごろから2005年ごろまで女性は連続して全国1位をマーク。男性も1985年に第1位を記録しており、「沖縄県は長寿県」と注目を集めたものである。

 長寿の理由としては、沖縄県の温暖な気候や伝統的な食生活(ゴーヤなどの野菜や豚肉料理等は有名)などが注目された。しかし、図2に示す通り、男性は05年に急激にランクが低下し、女性も15年以降ランクが低下し、「長寿県沖縄の神話」が崩れてきたことが分かる。

 この理由としては、米軍基地の影響もあって沖縄の食生活がアメリカンスタイルに変化したことや、自動車の普及により人々の運動量が減ったこと、疾病の予防や早期治療に役立つといわれる健康診断の受診率が高くないことなど様々な説明がなされている。例えば「令和5年度都道府県別特定健診受診状況」(厚生労働省)によると、沖縄県の特定健診受診率は53.9%で全国第40位である。

寿命は伸びても、ランキングは下落

 沖縄県の寿命ランキング下落の原因が食生活の変化、生活習慣の変化、そして県民の健診受診率の低さなど、沖縄県民の「内部的な要因」であろうとすることにはやや疑問が残る。なぜならば、もしこれら沖縄県民の経年の「行動の変化」が長寿化を阻害するとするならば、沖縄県民の寿命が1位となった時点を良い健康行動のピークとしてその後、寿命の短命化が進まなければならないことになる。

 しかし、実際に沖縄県民の寿命の推移を見ると1985年の全国第1位のピーク以降も男女ともに着実に伸びていることが分かる。

 統計を見ると、「沖縄県民の寿命は延びている。決して短命化したわけではない。しかし沖縄県の寿命ランキングは徐々に下がっている」このことは一体何を意味するのであろうか。それは、沖縄県の寿命が延びる以上に他都道府県の寿命が延びたということに他ならない。


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