2025年12月5日(金)

都市vs地方 

2025年7月16日

 逆に言えば、全国の他の都道府県の寿命の延びに沖縄県が「追い付いていない」ことを意味する。このことから想起される沖縄県の事情といえば、沖縄県民の経済環境の改善が全国レベルに「追い付いていない」ことである。

沖縄の発展と改善に必要なこと

 図4は「県民経済計算」(経済企画庁、内閣府)による75年から21年までの1人当たりの県民所得について全国/沖縄県の比率を示したものである。この比率はいわば「全国と沖縄県の経済的な格差」を表す指標といえる。

 この結果を見ると沖縄県の寿命が全国トップに躍り出た1985年までは、比率はおおむね低下傾向を示し、沖縄県と全国との経済格差は縮小しつつあったことが分かる。しかし、その後ゆるやかにこの指標は増加し、沖縄県と全国的な経済成長との格差が拡大傾向にあったことが見て取れる。

 このことが沖縄の生活水準の改善を相対的に遅らせ、全国寿命の延びに後れをとる影響を及ぼしていたとすれば、冒頭に示した沖縄県の振興は、雇用環境の理由による人口流出を抑制する面からだけでなく、県民の健康面からも取り組むべき課題といえるであろう。

 
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