2025年7月11日付のフィナンシャル・タイムズ紙で、シルヴィ・カウフマン(Le Monde コラムニスト)が、トランプ大統領のウクライナ戦争停戦に向けた努力は実らず、プーチン大統領が目標達成のために長期の戦争に腰を据えていることが明らかになっていると指摘し、トランプ大統領はこれに対処する必要があると論じている。
プーチンはトランプの癇癪にも平然たる様子である。7月8日、「プーチンは数々のでたらめを投げてよこした」と、ウクライナとの停戦が進展しないことに苛立ち、トランプは警告した。プーチンの答えは明確だった。数時間のうちにロシアはウクライナに対する過去最大のドローン攻撃を行った。
トランプは24時間以内に戦争を終わらせると言っていたが、今や長期の紛争の可能性を考慮する必要がある。トランプの圧力に動じることなく、プーチンは究極の目標を達成する決意である。
目標は如何なる犠牲を払ってでも、ウクライナを従属させることである。他方、ウクライナはロシアの支配に抵抗する強靭性と断固たる決意をなお示している。この全面戦争は4年目となるが、双方にとって存亡をかけたものとなっている。
過去2週間に2度、トランプやマクロンとの長時間の電話で、プーチンは明確なメッセージ、すなわち、如何なる解決といえども、紛争の「根本原因」に対処する必要があると述べた。そのことは、 北大西洋条約機構(NATO)の境界を1977年当時に押し戻し、ウクライナの主権を否認することを意味する。
100 万人と推定される数の死傷者にかかわらず、プーチンは戦場における優位性は拡大していると信じている。彼にとって、この戦争に勝てないことは考えられない。彼は「ウクライナを非ナチ化する特別軍事作戦」から「NATOの侵略との戦闘」に語り口を変更したことにより、この戦争は彼の生き残りの鍵となる終わりのないプロジェクト、すなわち、永久に続く戦争になっている。
ウクライナにとっては、敗北はウクライナの終わりを意味する。ウクライナも、破壊的な損失と兵員の不足にかかわらず、戦い続けられると考えている。
ウクライナ軍は敵に衝撃的な打撃を与える能力をいまだ有している。昨夏のロシアのクルスク州への侵攻、あるいは 6月1日のロシアの戦略爆撃機に深刻な損害を与えた大胆なドローン攻撃(「蜘蛛の巣作戦」)がその例である。
より重要なことは、ウクライナの防衛産業の生産の拡大である。今や欧州の軍事産業基盤では再軍備に向けて大きな変化が進行中であるが、その重要な部分を成す。
