さらにウクライナ軍がドローン攻撃でロシア西部の爆撃機基地を頻繁に脅かすようになると、ロシア空軍は爆撃機を極東の基地に逃すようになったため、わが国周辺における配備数はむしろ若干増加するようになった。特にウクライナの特務機関が6月に行った基地近傍からのドローン攻撃(「蜘蛛の巣」作戦)後には、カムチャツカ半島のエリゾヴォ基地やチュコト半島のアナディリ飛行場など、普段は爆撃機基地として使用されていない飛行場にまで爆撃機が展開してくるようになった。
面倒なことに、近年ではここに中国ファクターまで加わっている。中露は過去数年、両国の爆撃機による「合同パトロール飛行」を日本周辺の空域で実施してきた。24年7月には、北極海東部のチュクチ海でも中露爆撃機の「合同パトロール飛行」が初めて実施され、これを支援するために中国の空中給油機がアナディリ飛行場に展開したことが衛星画像で確認できる。
復活に向けて動く
「オホーツク核要塞」
ロシア海軍も極東では存在感を示し続けている。ソ連崩壊後、ロシア太平洋艦隊はほとんどの大型艦艇を喪失し、弾道ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN)によるパトロールもほとんど行われない時期が長く続いた。こうなると太平洋艦隊の存在意義自体も低下し、00年代初頭には当時の参謀総長がカムチャツカ半島の原潜基地閉鎖をプーチン大統領に進言するまでになったという。
しかし、10年代半ば、カムチャツカ半島に新型の955型(ボレイ級)SSBNが配備されたあたりから状況は変化し始める。
※こちらの記事の全文は「終わらなかった戦争 サハリン、日ソ戦争が 戦後の日本に残したこと 戦後80年特別企画・後編」で見ることができます。
