交流で生き残る戦略「観光」
これまで見たように、北海道は出生率も低く、人口流出も起きているため、道内の人口だけにもとづいて活路を見出すことは容易ではない。そこで、以下では北海道の特性を最大限に活かしてゆくことを考えよう。ここでは、はじめに観光に焦点をあて、北海道の特性を確認する。
観光庁公表の『宿泊旅行統計調査報告』(2024年1月~12月)によれば、都道府県別の延べ宿泊者数では、東京都が 1 億 1035 万人泊で第1位、大阪府が5743 万人泊で第2位、そして第3位に北海道が 4463 万人泊で食い込んでいる。
また、昨今話題のインバウンド(訪日外国人旅行客)の観点から、都道府県別の外国人の延べ宿泊者数のランキングをみても、北海道は第4位につけている。東京、大阪のような都会的な日本や、京都のようなクラシックな日本とも異なる北海道の観光地としての特性(自然、食)が強みとして評価されていると言えよう。
さらに「地域経済にお金を落とす」という意味で、観光・レジャー目的の訪日外国人の都道府県別、費目別の消費単価を見ると、北海道は東京15.3万円に次いで2位の14.9万円と高く、京都や大阪よりも高いことがわかる(図4)。
人口減少下の北海道の将来の地域経済を考えるうえで、このような観光を通じた交流人口の確保も重要な戦略といえる。



