改善すべき3つの提案
改めて、国の生産性を改善し、遅ればせながら21世紀型の先端技術を駆使した国造りを志向するのであれば、ここで3つの提案をしてみたい。
1つは、一部では進んでいるが、日本独自のハッキリした「文系と理系」の区分をなくすことだ。少なくとも、大学入試と大学の教養課程においては、文系的な内容と、理系的な内容を共に学ぶことが是非とも必要だからだ。
2つ目はやや細かな提案になるが、高校における必須科目、あるいは大学受験の科目において「地学」をフルの1科目とするのは止めるべきだ。科学とは原理原則を使って思考を操作する学問だが、地学だけは現象面の知識を問うことで終わってしまう内容だからだ。
応用レベルでなくてもいいから、誰もが高校で、あるいは受験勉強において、物理、化学、生物の主要3科を真剣に学び、基礎的なロジックの理解ができれば、国の生産性はかなり向上するように思う。
3番目は、これに関連して、大学受験では「理科2科目」の学力「だけ」を問うのではなく、物理、化学、生物の主要3科目の全てを問うようにすべきだ。最新の学問、例えば、医学、生化学、生化学工学、資源工学、環境工学、電子工学、機械工学といった学問では、この3分野の知見を駆使しての研究が続けられている。こうした分野で、若者が世界の最先端に追いつくには、「理科は2科目で良い」という入試制度は弊害が大きいからだ。
いずれにしても、「社会に出たら理科は必要なくなる」というように、多くの高校生が感じているのだとしたら、これは国家的危機だと考える。もしかしたら、バブル崩壊以降35年にわたって延々と経済を衰退させてきた元凶の一つは、こうした科学リテラシーの問題、つまり理科教育の失敗という問題かもしれない。
