しかし、冷戦終結後、両国は関係正常化への道を歩み始めた。92年の国交樹立後、韓国企業のベトナム進出が本格化。特に90年代後半からサムスン電子をはじめとする韓国企業がベトナムを生産拠点として活用し、現在では約9000社の韓国企業が進出、対内直接投資累計額で韓国が1位となった。また、韓国に34万人のベトナム人、ベトナムに19万人の韓国人が居住する現状が両国関係の緊密さを物語っている。
注目すべきは、ベトナムが韓国に対して、ベトナム戦争の補償を求めなかったことだ。ベトナム政府は経済発展を優先し、韓国との協力関係構築を選択した。01年に金大中大統領が初めて遺憾の意を表明したものの、韓国政府の公式謝罪は実現していない。ベトナム政府も韓国との経済関係を重視し、歴史問題の追及を抑制している。
李在明政権の国政運営計画
14日のヘッドラインは、大統領直属の国政企画委員会が李在明政権の青写真である「国政運営5か年計画(案)」が発表されたことを伝えたもの。李大統領は、尹錫悦前大統領の弾劾によって早期に大統領選挙が行われ、当選翌日から大統領職務を遂行したため、尹政権から引き継ぎを受けることができなかった。そこで、60日間の期限を区切り、国政企画委員会が同計画を策定した。
同計画は、国家ビジョンである「国民が主人公である国、ともに幸せな大韓民国」と3大国政原則(傾聴と統合、公正と信頼、実用と成果)、5大国政目標、23大推進戦略、123大国政課題の政府案で構成される。5大国政目標は、①国民が一つになる政治、②世界をリードする革新経済、③皆が豊かなバランス成長、④基本が堅固な社会、⑤国益中心の外交安保――だ。計画は、政府の最終検討と国務会議(閣議)を経て確定される。
尹政権の計画との違いが特に明確なのは、政治・行政改革の分野で、李政権は検察・警察・監査院など権力機関の権限を縮小するとともに、軍を改革するとしている。
なお、尹政権は国政運営計画のアクションプランとして、AI科学技術で強い軍隊を育成する「国防革新4.0」を打ち出していたが、李政権でこれに相当する軍事プランは提示されなかった。
