ベトナム戦争終結から50年の節目に、ベトナム最高指導者のトー・ラム共産党書記長が訪韓した。2030年までに韓越間の貿易額1500億ドル達成を目指すことで合意し、退役哨戒艦やK9自走砲の輸入が決定するなど、両国関係は最高潮に達しているが、韓国のベトナム戦争における派兵の爪痕はどのようにして修復されたのだろうか? 李在明政権は国政運営5カ年計画を発表したが、国防に関するアクションプランは盛り込まれなかった。
過去を乗り越えて
8月12日、13日のヘッドラインは、ベトナムのトー・ラム書記長と高級代表団が8月10日から13日まで訪韓したことを伝えたもの。両国は「韓国・ベトナム包括的戦略パートナーシップ関係深化のための共同声明」を採択し、国防・防衛産業協力の範囲拡大や2030年までに貿易額1500億ドル達成を目指すことなどで合意した。調印された協力文書は50件に上るという。
8月11日に行われた首脳会談で、李在明大統領は慶州で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会談にベトナムの参加を呼びかけ、肯定的な返事をもらったという。
12日の国防相会談では、両国の国防・防衛産業協力の範囲を拡大するための覚書(MOU)を速やかに改正することで合意し、浦項級(1000トン級)の退役哨戒艦「済川」の譲渡契約も締結した。これまで韓国は17年と18年にも同級哨戒艦それぞれ1隻を無償供与している。
なお、国防日報は報じていないが、世界の自走砲市場で約半分のシェアを誇るK9自走砲20門を約2億5000万ドルでベトナムに輸出する契約が締結された。韓国は上述のとおり、哨戒艦を無償供与した実績はあるが、兵器輸出は初めて。共産圏と東南アジアへのK9初輸出は、イデオロギー障壁の克服と新市場創出という画期的な成果を挙げたと言える。
このように最高潮にある両国の関係だが、韓国はベトナム戦争に参戦、最大5万人が駐屯し、民間人虐殺など戦争犯罪も引き起こすなど、両国関係は平穏ではなかった。

