2025年12月5日(金)

Wedge REPORT

2025年9月13日

 石破茂首相が辞任し、後任を選ぶ自民党総裁選が9月22日告示、10月4日投開票で行われることになった。立候補を目指す議員は着々と準備を進める。

(oasis2me/gettyimages)

 日本のトップを決め、国の行く末を決めることとなる選挙だが、先の参院選のような「日本人ファースト」といった極端な言葉に惑わされてはいけない。「日本人と外国人」や「貧富の差」といった対立構造はさまざまあっても、対立を煽るような社会にしてはいけない。

 物価上昇、外国人労働者、生活保護といった問題を一歩引いた立ち位置から考えたい。問題の本質を分析した記事5本を紹介する。

〈目次〉

“隠れた増税”インフレ税…財政再建が進んでも、国民の暮らしが貧しくなるワケ(2025/09/03)

「移民」と「難民」を混同する日本、参院選で見られた危うい議論…ドイツの施策から考える冷静な見方(2025/07/30)

<SNS=民意なのか?>SNS選挙で「政策」は置き去りに 人類総メディア時代で大切なこと(2025/03/19)

〈在日中国人の増加は想像以上〉ついに和歌山県の人口とほぼ匹敵!「日本の盲点」を直視し、国を守れ(2025/09/11)

〈揺らぐ生活保護制度〉押し寄せる「貧困の高齢化」の波に最後のセーフティーネットは耐えられるのか?(2025/07/24)

“隠れた増税”インフレ税…財政再建が進んでも、国民の暮らしが貧しくなるワケ

(Hakase_/gettyimages)

 総務省統計局によれば、7月の消費者物価指数は、天候による変動が大きい生鮮食品を除いた指数で、前月6月から0.2ポイント縮小し、前年同月より3.1%上昇した。燃料価格の下落によってエネルギーが1年4カ月ぶりの値下がりに転じたものの、コメや鶏肉、卵など食料品が値上がりした。これで8カ月連続の3%台での上昇となっている。

 2022年12月、バブル期の1991年1月以来30年以上ぶりにインフレ率が4%台に達した頃は「輸入インフレによる一時的な現象だ」との見方が、日本銀行をはじめ一般的だった。しかし、今に至るまで、インフレが止まる様子は一向に見られない。

 インフレで、われわれ国民が日々の生活に四苦八苦する一方で、日本の財政は改善に転じている……

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「移民」と「難民」を混同する日本、参院選で見られた危うい議論…ドイツの施策から考える冷静な見方

日本に住む外国人をすべて一括りにしてはいけない(ロイター/アフロ)

 日本では参議院選挙で、外国人受け入れについて激しい議論が行われた。しかし、多くのメディアや政治家が、合法的な移民と難民または不法移民を混同している。海外で高技能・高学歴移民をめぐる競争が激化している今、日本の外国人受け入れをめぐる議論で合法的な移民と難民、不法移民を混同することは禁物だ。

 合法的な移民(legal immigrant)とは、滞在先の国の政府から滞在許可や労働許可を取得し、社会保険料や税金を納め、法律に違反せず、現地の価値観や習慣を尊重する移民だ。筆者が住むドイツは自国をカナダなどと同じ「移民国家」と定義しており、この国に住む外国人の大半は、合法的な移民だ。

 難民(refugee)とは、戦争や政治的迫害から逃れて、亡命する外国人だ。難民はしばしば財産を持たずに逃げて来るので、当初は生活保護に頼らざるを得ない……

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<SNS=民意なのか?>SNS選挙で「政策」は置き去りに 人類総メディア時代で大切なこと

(KYONNTRA/GETTYIMAGES)

 2024年は、日本におけるSNSと選挙の関係が大きく変化した年となった。「SNS選挙」という言葉が広まり、SNSの影響力がより明確になった。

 これまで、日本の選挙ではSNS上の支持と実際の結果が必ずしも一致しないケースが多かった。例えば、東京大学の鳥海不二夫教授の分析によると、20年の東京都知事選では、X(旧Twitter)上で小池百合子氏に対する批判的な投稿が大部分を占めていたが、実際の選挙では彼女が2位候補の4倍以上の得票を獲得し、大差をつけて勝利した。

 しかし、24年にはこの傾向が変化した。7月の東京都知事選では、「石丸現象」が話題となった。前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏は、ショート動画を駆使してSNS上で支持を拡大し、165万の得票数で2位に躍進。現職との票差を縮めた……

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〈在日中国人の増加は想像以上〉ついに和歌山県の人口とほぼ匹敵!「日本の盲点」を直視し、国を守れ

東京・池袋駅に溶け込んだ在日中国人に人気の中華料理店とカラオケ店の広告(AP/AFLO)

 在日中国人が増加している。法務省の統計によると、2024年末時点で約87万3000人に上り、和歌山県の人口(約88万8000人)とほぼ同数となった。00年以降は右肩上がりで増え続けている。近年の特徴として挙げられるのは、数億円以上の財産を持つ富裕層や幅広い中間層、特定技能制度などで来日した労働者層など、〝あらゆる層〟の人々が存在することだ。

 かつては国費留学生などのエリートや、出稼ぎ目的の労働者と二極化していたが、近年はまるで「ミニチャイナ」の様相を呈している。

 特に感じるのは、日本人と接触しない在日中国人が増えていることだ。日本に住んでいるのに、日本語を話せなくても全く不自由せず暮らしていける「中国人経済ネットワーク」が既に形成されているからだ……

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〈揺らぐ生活保護制度〉押し寄せる「貧困の高齢化」の波に最後のセーフティーネットは耐えられるのか?

日本三大ドヤ街の一つである東京・山谷地区。生活保護を利用している人の割合は約9割に達するという(WEDGE)

 今、生活保護の利用者はどのような窮状に直面しているのか。そこに至る前の「セーフティーネット」を、いかに機能させることができるのか。日本が抱えている課題を現場目線で紐解く。

 「誰にも頼ることができず、年金も満足に貰えず、それでも地域で暮らす高齢者が増えていくことは間違いない」。明治大学専門職大学院ガバナンス研究科教授の大山典宏氏はこう危惧する。

 団塊世代の全員が75歳以上になった今年。生活保護世帯のうち65歳以上で構成される高齢者世帯の割合は55.4%と、日本の高齢化率(29.3%)より相当に高い……

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