「子宮破裂」は陣痛促進剤の副作用の一つ
薬局等で販売されている一般用医薬品には、その使用上の注意や副作用が記載された添付文書が付いていますが、病院で処方される医療用の医薬品の添付文書は、全て、「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」のホームページで、pdfやhtml形式で見ることができます。PMDAのホームページの上部にある「医薬品医療機器情報提供ホームページ」のバナーをクリックすると、次の画面のトップで、医薬品名を入力する検索窓が出てきます。陣痛促進剤については、その検索窓に、例えば「オキシトシン」や「アトニン」と入力するとその薬の添付文書が表示されます。
それを見てもわかるように、「子宮破裂」は、「陣痛促進剤」によって強過ぎる陣痛が引き起こされてしまうことによる「重大な副作用」の一つです。陣痛促進剤の事故が社会問題化した頃から、子宮破裂に至る事故はその象徴の一つになっていました。
実際、26年前に結成された「陣痛促進剤による被害を考える会」の代表の出元明美さんの事故も子宮破裂でした。子宮破裂に至ってしまった事例の背景には、子宮破裂直前の状況まで追い込まれて苦しんだ事例がよりたくさんあったでしょう。子宮破裂直前の兆候と言われる、お腹が完全に赤ちゃんの形になってしまう「真空パック状態」になった人もいました。
しかし、再発防止の報告書からわかることは、産婦人科学会の診療ガイドラインがきちんと守られた事例では、ほとんど、重度の脳性麻痺になる事故が起こっていないということです。それだけに、前篇でお話をしたように、子宮破裂を起こさないためにも、妊婦やその家族は陣痛促進剤についてしっかりと知っておくことが必要です。
クリステレル胎児圧出法
日本では本来の方法と異なる行為も
陣痛促進剤と同様に、子宮破裂の事故に至るもう一つの危険因子は「クリステレル胎児圧出法」と呼ばれるものです。
この問題は、今回の「第4回再発防止に関する報告書」の中では、子宮破裂の原因としてだけでなく、独立した大きなテーマとして取り上げられています。なぜなら、産科の医療事故で重度の脳性麻痺になった319事例の内の56例で、この「クリステレル胎児圧出法」が行われていたからです。
この「クリステレル」という聞き慣れない医療行為は、一体、どんな高度で専門的な技術かと思ってしまいますが、実は、単に「お腹を押して赤ちゃんを押し出す行為」なのです。