認知、免疫、筋力、三つの改善の中で免疫については、すでにオートファジーとの関連が多く報告されています。病原体などが体内に入ってくると、体を守るために白血球やNK細胞といった免疫細胞が働きますが、オートファジーはこれらの免疫細胞を活性化させます。加えて、免疫細胞以外の通常の細胞の中でも、オートファジーが行われる過程で、病原体やウイルス自体を取り囲み、分解するのです。
オートファジーを
活性化させる和食
ここで簡単にオートファジーの仕組みを説明します。オートファジーは細胞の「自食作用」と訳されます。細胞の中に「隔離膜」というお皿のようなものが出現し、細胞の中身を包み込んで「オートファゴソーム」という球形になって中身を閉じ込めます。そして、「リソソーム」という消化酵素を持った細胞小器官と融合し、中身を分解するのです。このようにして細胞の新陳代謝が行われているのです。つまり、新陳代謝と有害物の除去がオートファジーによって行われるのです。オートファジーを活性化することで健康寿命を延ばすことができるのは、まさにこの働きのためなのです。
最も難しいのは認知です。年齢を重ねてくれば多くの人が感じていると思いますが、認知を改善することは難しいことです。オートファジーのアプローチで認知機能の低下を防ぐ点については、研究開発が進んでいます。改善についても、その可能性があると思っています。筋力については運動が基本になります。
これから行う臨床試験については、中高年を中心に20人の方に参加していただきます。食事、運動、睡眠、その中に、オートファジーを活性化させるサプリなども含まれています。納豆に含まれる「スペルミジン」がオートファジーを活性化させるように、和食も健康寿命を延ばすための大きなファクターです。
今年4月、初めての自社製品サプリである、「阿波晩茶オートファジー100™」を発売しました。これは徳島県の伝統発酵茶「阿波晩茶」の抽出成分を活用したものです。これによって「阿波晩茶」自体にも注目が集まっていると聞いています。日本全国には、このようにオートファジーを活性化させる飲食物がまだまだたくさんあるはずです。研究、商品化を進めて、地域活性化にも貢献できればと考えています。(談)
