なお、トランプ政権はこのほか、西海岸のエリート校でリベラリズムの象徴として知られるカリフォルニア大学バークレー校に対しても、「反ユダヤ主義」などを理由に助成金カットをちらつかせながら批判を強めている。しかし、同大学はこれまでのところ、教育改革の要求をはねつけている。
広がるエリート校との〝格差〟
上記の動きが示す通り、全米の主だった有名校の多くは、「コンパクト」対象校含め、これまでのところ、トランプ政権によるさまざまな脅しや攻撃に対し、「学の独立」死守のために毅然たる態度を取り続けている。
また、これらの大学では、高額授業料でも入学志望者が後を絶たず、経営的にもある程度の資金的余裕があることも事実だ。とくにエリート校の場合、社会的に成功した富豪経営者たちもOB会に名を連ね、母校への多額寄付で支えられている面も無視できない。
対照的に、社会的評価で見劣りのする一般大学の場合、高額授業料では入学志望者は定員に満たず、地方経済界からの寄付も限られるため、経営上、困難な状況にあり、政府助成金への依存度も高い。この結果、助成金目当てに政府による思想統制を受容せざるを得ない大学が増えつつあり、そこでは学の自由や独自の校風もむしばまれ、特色のない画一的教育がはびこる恐れもある。
従って結論的に言えば、今回の有力校に対するトランプ政権の政治介入は、それ以外の一般大学との質的ギャップ拡大にますます拍車をかける矛盾を抱え込んでいると言えるだろう。
