2025年12月8日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年10月31日

 トランプ大統領の政策や行動は、世界の秩序を壊す面が多いため、批判的にならざるを得ないが、今回のガザ戦争の停戦と人質の解放を実現したトランプの手腕は高く評価される。

 この第1段階の成果を次の段階につなげていって、今後、ハマスの武装解除、テクノクラートによるガザ統治、それへの国際的支援の組織化などの難問に取り組み、ガザでの「永続的な平和」を作り上げられるかはまだわからない。しかし、トランプが一方で湾岸アラブ諸国の意見をよく聞き、必要に応じてイスラエルに強い圧力をかける覚悟をして取り組むならば、トランプ自信が言う通りガザに「永続する平和」をもたらすチャンス出てくると考えてよいのではないか。

「2国家解決しかない」

 ザカリアは、新しい中東で支配的役割を果たすのはイスラエルと湾岸諸国であると指摘し、エジプトやイランはそれぞれの事情でこれまでのような影響力を失ってきていると指摘しているが、これは的を射た指摘ではないかと思う。カタールやサウジなどの湾岸諸国は近代化、技術的進歩、そして何よりも平和と安定を求めているというのはその通りであろう。

 最後に、ザカリアはパレスチナ問題の解決について、「2国家解決しかない」と元駐イスラエル米大使インディクが書いたForeign Affairs誌の論文を引用して、トランプがその考えに到達することへの希望を表明しているが、イスラエルに言うことを聞かせられるのは米大統領以外にはなく、これは心から望まれることである。それをトランプがやり遂げれば、確かにノーベル平和賞以上の賞に値する。

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