2025年12月10日(水)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2025年11月18日

 その教師によると、同僚の中国人教師たちも困惑しており「中国でがんばってくださっている日本人の先生に申し訳ない」と話しているそうだが、上層部の指示には逆らえず、意気消沈しているという。

日本映画の上映延期も

 中国では、政府が日本への渡航自粛を発表したのと同じ14日、日本のアニメ映画「劇場版『鬼滅の刃』 無限城編 第一章 猗窩座(あかざ)再来」が全土で公開され、14日深夜に上映された初回には行列ができるほどの人気ぶりとなった。17日までの興行収入は4億元(約87億円)に迫る大ヒットとなっている。

中国で初めて上映された映画「鬼滅の刃」に影響する可能性も(VCG/アフロ)

 中国で「鬼滅の刃」が上映されたのは初めてだっただけに、ファンは歓喜している。17日夜現在、同映画の上映は問題なく行われているが、SNSでは、「上映期間が短縮になるのではないか」「早く観に行こう」との心配の声が上がる一方で「もしこれを中止するようなことになったら、若者たちの不満が爆発してしまう」という意見もある。

 中国政府は17日、今月と来月に上映予定だった日本のアニメ映画「映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ」と映画「はたらく細胞」の上映を延期すると発表した。今後も、文化面、経済面での報復が続くことはあり得る。

 中国から日本に一度でも来たことのある中国人ならば、日本が安全な国であることをよく知っている。現在ではSNSを使って、日本でどのような報道がされているかを知ることは可能だ。だが、中国社会全体の日本に対する空気が悪化していけば、その流れを食い止めることは困難だ。

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