2025年12月5日(金)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2025年9月19日

 満州事変の発端となった柳条湖事件から94年を迎えた9月18日、中国遼寧省瀋陽市にある「九・一八歴史博物館」前で式典が行われた。中国中央テレビ(CCTV)の報道によると、式典には習近平国家主席など中国共産党の最高指導部メンバーの参列はなかったものの、約1000人以上の関係者が出席した。

満州事変の発端となった柳条湖事件から94年での式典が中国で開かれた(新華社/アフロ)

 9月18日にちなみ、午前9時18分になると、一斉に大音量のサイレンが3分間鳴らされ、市内に響き渡った。また、瀋陽市をはじめ、遼寧省内の各都市でも同時刻にサイレンが鳴らされ、運転中の車は停車してクラクションを鳴らし、学校の生徒たちも校庭で黙とうした。

 中国は今年を「抗日戦争勝利80年」として、7月末から抗日映画を次々と公開、多くの都市でナショナリズムが高まっており、中国在住の日本人の間では不安が広がっている。

 中国のSNSを見ると、早朝からCCTVなどで「918」(ジウイーバー)関連の報道が相次いだ。ウェイボー(微博)のホット検索ランキングを見ると、「九一八事変94周年」「勿忘九一八」(918を忘れるな)といったワードやセンテンスが上位を占め、高い関心度を集めていることは一目瞭然だった。

 9月18日の式典は例年行われているもので、今年とくに盛大だったようには見えない。だが、今年、特に人々の注目度が高いのは、前述の通り、今年が「抗日戦争勝利80年」という節目の年であることが関係している。

 7月末以降、連続して抗日映画が公開され、9月3日には天安門広場前で軍事パレードが行われ、ロシアのプーチン大統領や北朝鮮の金正恩総書記が習近平国家主席の両サイドに参列したことだ。そうした一連の行事により、反日感情が高まっているということだ。


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