日本は冷静に対応を
通常中国の対外政治行動には「軍事威嚇・認知戦・法律戦」の三種がミックスされる。今回も中国は軍事的威嚇を行い、認知戦による高市・頼清徳両政権に対する負のイメージの拡散を試み、高市発言が戦後処理レジームを破壊するという法理的な議論を挑んできている。
これに対して日本側は冷静かつ戦略的に対応しないと足元を掬われかねない。あくまで現状は台湾で有事は何も起きていないのである。
付け加えておけば、台湾にとっては、中国が気に入らない相手に対して、「経済」を武器にして、圧力をかけることはすでに見慣れた手法である。中国と融和的だった馬英九・国民党政権時代の08年から16年にかけては年間最大400万人が訪れた中国人観光客は現在年間40万人にも満たない程度である。
中国人観光客をあてに建造されたようなホテルは経営が苦しく閑古鳥が鳴いているところもあるが、半導体ビジネスで潤っている台湾経済全体はびくともしていない。観光はやはり水物。こういうことが起きうることが「チャイナリスク」であると業界の人たちもわかっているはずである。
日本がイノベーションや先端テクノロジーで世界をリードできれば、中国人観光客が止まっても景気が下がる下がらないと右往左往しなくていいはずである。
