都会の〝タワマン〟に住む宝石たち
以来、私は都内の川を歩き回った。驚くべきことに、全ての川にカワセミがいた。
それだけではない。春先にオスがメスに魚をプレゼントしてつがいになり、気づくと数羽のひなたちが姿を現し、川に落ちている自転車の手すりやコンクリート壁の縁にちょこんと止まって、親が餌の魚を持ってくるのを待っている姿も目撃できた。
なぜカワセミが都会に戻ってこれたのか?
まず水が綺麗になった。工場がなくなり、下水が整備され、川に魚やエビが戻ってきた。その大半はアメリカザリガニなど外来種である。
だが、産卵はどうするのか。川に土手はない。観察を続けて発見した。川のコンクリート壁に開いた水抜き穴。あれを巣穴として利用していたのだ。都会のカワセミは〝タワマン住まい〟なのである。
外来種を食らい、タワマン的なコンクリート壁で子育てする。都会でカワセミはたくましく生きている。私たち人間とおんなじである。まさにご近所の友達だ。
自然番組で見るよりもダイナミックな生き物の世界に出会う旅。ぜひ、ご近所の小さな川沿いを歩いてほしい。きっといるはずだ。青い鳥が。
