2025年12月14日(日)

30分の旅

2025年11月24日

都会の〝タワマン〟に住む宝石たち

 以来、私は都内の川を歩き回った。驚くべきことに、全ての川にカワセミがいた。

 それだけではない。春先にオスがメスに魚をプレゼントしてつがいになり、気づくと数羽のひなたちが姿を現し、川に落ちている自転車の手すりやコンクリート壁の縁にちょこんと止まって、親が餌の魚を持ってくるのを待っている姿も目撃できた。

 なぜカワセミが都会に戻ってこれたのか?

 まず水が綺麗になった。工場がなくなり、下水が整備され、川に魚やエビが戻ってきた。その大半はアメリカザリガニなど外来種である。

 だが、産卵はどうするのか。川に土手はない。観察を続けて発見した。川のコンクリート壁に開いた水抜き穴。あれを巣穴として利用していたのだ。都会のカワセミは〝タワマン住まい〟なのである。

 外来種を食らい、タワマン的なコンクリート壁で子育てする。都会でカワセミはたくましく生きている。私たち人間とおんなじである。まさにご近所の友達だ。

 自然番組で見るよりもダイナミックな生き物の世界に出会う旅。ぜひ、ご近所の小さな川沿いを歩いてほしい。きっといるはずだ。青い鳥が。

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Wedge 2025年12月号より
令和の京都地図 古くて新しい都のデザイン
令和の京都地図 古くて新しい都のデザイン

時代が変わるたび、京都は常に進化を遂げてきた。「千年の都」京都は今後、どう変わってゆくのか。日本人のみならず、世界中の人々を惹きつけてやまない魅力や吸引力はどこにあるのか。京都に根を張る各界の先駆者たちに聞く令和時代の新しい京都地図とは─。


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