2025年12月14日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年12月1日

 また、高市と韓国の李大統領との友好的な会談も、志を同じくする地域の同盟国のネットワークという意味で、台湾にとって重要だった。両首脳は日韓関係を「外交関係の正常化以来築いてきた土台の上に未来志向の安定した形で」発展させることで同意した。23年、当時の岸田文雄首相と尹錫悦大統領間の働きかけの後、日韓関係が改善したのに対し、李が抵抗してきたことを考えると、これは朗報だ。

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揺れるトランプの発言

 台湾の人々にとって、韓国・慶州で行われたトランプ大統領と習近平主席の会談ほど、最近大きな関心を呼んだものはない、とTaipei Timesの社説が述べている。その会談において、米中首脳間で台湾のことが如何に議論されたか、あるいは議論されなかったか、について台湾の民意は大揺れに揺れたという。このTaipei Timesの記事は的を射たものであり、興味深いものである。

 その後の行動をみれば、台湾のことが、両者間で取り上げられたか、あるいは取り上げられなかったか、はっきりわからないというのが実態に近いようである。「台湾問題」は一切話題にならなかったと、トランプ氏自身も会談後、記者団に対して明言している。

 しかし、トランプの発言自体揺れ動いているので、実際にどうであったかよくわからない。トランプ自身11月初め、CBS ニュースで、「中国は私の在任中は、台湾に何もしないだろう」と発言したとともに、「中国は侵攻した場合の結果をよく理解しているからだ」と語った。

 トランプ自身これまで台湾については否定的な発言も含めて、異なった内容の発言をしてきた。特に「台湾は米国の半導体事業を盗んだ」、「台湾はわれわれにより多い防衛費を支払うべきだ」などと述べていた。

 台湾の人々から見ると、「台湾有事」の際、米国が台湾をどこまで守ってくれるかについて、疑いを抱く。いわゆる「疑米論」を排除できない理由はここにある。


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