2025年12月14日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2025年12月1日

 つまり、トランプ政権の対中国政策には一貫性がない。特に来年4月と伝えられる中国訪問まで、台湾問題をめぐるトランプの発言は、台湾の人々の対米・対中意識を動揺させ続けるであろう。

台湾では評価される「存立危機事態」発言

 高市首相は11月の衆議院予算委員会の場で、「台湾有事」について、中国軍艦による武力行使があった場合、集団的自衛権の行使が可能となる「存立危機事態」に当たる可能性がある、との従来より踏み込んだ発言を行った。これまで日本政府は台湾有事での「存立危機事態」の具体例につき言及したことは無い。

 台湾におけるアンケート調査をみれば、トランプの対中国・台湾への対応が明瞭でないのに比し、日本の首相の発言は、より明白であると捉えられているのであろう。高市発言は、総じてトランプの台湾発言より高く評価されているように見られる。

 なお中国は海軍力の増強を急いでおり、東シナ海・南シナ海や台湾周辺海域で影響力を拡大している。最近は空母「福建」の就役で、軍事力を誇示し台湾の頼清徳政権への統一圧力を一段と強めている。その中国が高市発言を聞いて強く反発したところは、十分に予測しえたところである。

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