アルバイトが決まるまでのつなぎや、主婦の空き時間活用
では、スポットワークで働く人々とはどのような人なのか。Timeeの決算資料によると、Timeeに登録し、25年7月の1カ月間に稼働したスポットワーカーは男性52%、女性48%。年代は10代3%、20代22%、30代19%と、30代以下が4割強を占めている。職業が正社員21%、パート・アルバイト・契約/派遣社員34%、学生12%、自営業・フリーランス11%となっている。
正社員、非正規雇用、学生、フリーランスがスキマ時間を利用しての追加的収入を得るために就業しているケースや、主婦がスキマ時間に就労している実態が見て取れる。
実際に筆者が行った調査でも、UberEatsの配達員をしていたが、閑散期で注文が少ないのでTimeeを利用して飲食店で働いた30代の男性、家事のスキマ時間で複数の職場で働く40代の主婦、将来の夢のために平日は正社員で働き、週末に追加的収入を得ている若者とさまざまだ。
また始めた理由についても「アルバイトが決まるまでのつなぎ」(上記の学生)、「将来ジムを開業したいのでその資金を得るため」(上記の正社員)、「生活のためにしないといけない」(上記の主婦)といったものとなっている。つまり、生活のために辞められないワーカーがいる一方で、アルバイト先が決まるまでのとりあえずのつなぎとして働く学生など様々な事情で働いているのが現状といえる。
フリーランスとの違い
近年、日本では雇われない働き方であるフリーランスが注目されているが、各種調査をみると、フリーランスの実態は不安定・低所得というのが現状である。労働政策研究・研修機構(2019)『「独立自営業者」の就業実態』によると、年収200万円未満の専業フリーランスは49%に上っている。
所得の低さには、様々な要因が考えられるが、その要因の一つは労働基準法が適用されないことである。フリーランスの中には最低賃金を下回る報酬で働かされる場合も少なくない。
例えば、プログラミングの仕事をネットから受注する場合、日本より賃金が低いアジアの国の人たちもライバルとして参入してくる。高いスキルを要求される仕事であっても報酬が低くなることは珍しくない。
これに対して、スポットワークは、雇用なので、最低賃金をはじめ、労働法による保護が及ぶのである。守られない働き方であるフリーランスが拡大する中で、守られる働き方としてのスポットワークの拡大はポジティブな意味がある。
