2025年12月16日(火)

Wedge REPORT

2025年12月5日

 また、筆者の教え子で、Timeeを通じて仕事をした学生は、仕事先のアルバイト店員から「Timeeではなく、うちで働かない?」と勧誘されたという。学生は「自分がアルバイトよりも下に見られているように感じた」と振り返る。こうしたケースがどの程度あるのかは定かではないが、スポットワーカーがアルバイトよりも下に位置づけられる職場もあるのだろう。

報酬を上げる仕組みは作れるか

 フルタイム就労のスポットワークの場合、非正規雇用と同様にワーキングプアとなることも懸念され、報酬を引き上げる仕組みづくりが課題といえる。これに対しTimeeは「バッチ」制度と言われる取り組みをしている。

 ワーカーが良い働きをしたと判断した雇用主がワーカーに「バッジ」を授与する機能である。25年1月から「バッジ」保有者限定の求人で設定できる最低時給を都道府県別最低賃金よりも200円高くなるようにした。こうした取り組みがスポットワーク全体へどれだけ波及されるのか、注目に値する。

 本記事では、スポットワークとそれが社会にもたらす影響について論じてきた。スポットワークは、手軽にできる副業の選択肢として働く者にとって積極的な意義がある。一方で、フルタイム並みにこの働き方をした場合には、社会保障上の懸念があるのも事実である。

 今後の政策は、ワーカーの生活実態と労働市場全体への影響の2つから検討していく必要があるといえるだろう。

※この記事は、柴田徹平・今井順・申在烈(2025)「雇用型労働プラットフォーム─マッチング、働き手の就業実態、そして政策課題」『日本労働研究雑誌 2025年10月号(No.783)』をベースに執筆しました。

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