汚職スキャンダルでウクライナが弱体化し、最前線でロシアが前進している今の状況でこの提案が推進されていることは、決して偶然ではない。ゼレンスキーは、ウクライナは「尊厳を失うか、重要な同盟国を失うか」という耐え難い選択に直面していると述べた。
この教訓は明らかだ。米国は、相手が誰であろうと「取引歓迎、営業中」の札を喜んで掲げる国になってしまっている。
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不動産ビジネスを世界に適応
明解なトランプ批判である。トランプの世界観の「本性」を指摘する社説の眼は鋭い。
ウクライナの存立危機の時のトランプによるレアアース開発要求や、ガザの住民移住とリゾート開発構想、パキスタンへの急接近等、皆カネにまつわる。トランプの生きて来た不動産ビジネスの世界を越えられず、それを世界に適用していると考えるしかトランプの行動は理解できない。
そして、一度権力を取ると、同種の人々が集まって来る。それにしても、政権に辞表を出す人が少ないのには驚く。
もう一つ、トランプの世界観で不思議なのは、選挙であれ程攻撃した多国間主義やグローバリズムについてである。攻撃した割には、代替案は打ち出されていない。
こそっと世界貿易機関(WTO)への滞納金を支払う等、最近の国際的な関与については、トランプは楽しんでいるようだ。自分のエゴと利益を満足させる事柄には国際介入し、米国の力を振り回す。
中ロの独裁者には非常に卑屈な程弱い。気に食わない会議や他国の指導者が主役になる会議はボイコットする。気紛れだ。単なる孤立主義ではない。「エゴイスティック」国際主義と言うべきかもしれない。
今年の20カ国・地域(G20)首脳会議は、11月22~23日に南アフリカで開催された。トランプは、南アフリカで白人が迫害されているとの間違った主張により南アフリカを批判し続け、会議をボイコットした。
来年は米国が G20 議長国になるが、その議長木槌の移転も行われなかった。米国は何をやっているのか、全く理解できない。米国の孤立が際立ったように見えた。
