ウォールストリート・ジャーナル紙コラムニストのミードが11月3日付け同紙の論説‘Trump’s New World Order’において、ベネズエラへの対応を例に挙げて、トランプは孤立主義者ではなく、世界秩序を再編しようとしている、と論じている。要旨は次の通り。
カリブ海に展開中の8隻の軍艦に空母打撃群が加わり、プエルトリコにはF-35戦闘機部隊が、そして周辺には様々な精鋭部隊が配置される中、トランプ政権はベネズエラとの対立を激化させている。政権転覆が明らかな目標だが、その時期と手段は明示されていない。
通常であれば、この規模の危機は世界のトップニュースとなるはずだが、昨今では一面に留まるのがやっとだ。トランプの電撃的なアジア歴訪が習近平との首脳会談で幕を閉じた同じ週に、ベネズエラ危機は戦争寸前まで激化した。ロシア軍は、キーウとの間で空戦が激化する中、ウクライナの占領地をさらに拡大した。内戦が深刻化するスーダンでは、ダルフールで恐ろしい光景が繰り広げられた。ガザの脆弱な停戦は、かろうじて維持されている状態だ。一方、トランプは、ナイジェリアがキリスト教徒の保護にもっと力を入れないなら同国を攻撃する、と脅した。
F. D.ルーズベルト以来、これほど強力で多忙な米国大統領はいない。トランプは同時に複数の課題に取り組むどころか、綱渡りをしながら曲芸を演じているようなものだ。
この猛烈な活動により、彼は世界の舞台の中心に収まり、敵のバランスを崩し、失敗を比較的容易に隠蔽し、利益相反から注意をそらし、彼のイメージを高めるのに十分な(実際の、或いは見かけ上の)成功をもたらしている。
しかし、トランプが巻き起こす混沌とした嵐の中で、彼の進む道には一定の論理がある。彼は米国が危機に瀕していると本気で信じているのだ。
