2025年12月28日(日)

山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2025年12月28日

3日間の逡巡――覚悟は沈殿してくる

 悩んだのは3日間だけであった。理屈ではなく、感情と体と記憶を総動員した3日間である。眠れない夜もあった。

 だが3日目の朝、腹が据わった。覚悟とは、決意ではない。沈殿して、底に溜まるものである。

占いに聞き、そして笑った理由

 俺らしくはないが、四柱推命や手相占いにも聞いてみた。答えは曖昧だった。だが、それでよかった。腹が決まった後の占いは、すべて後付けに見えた。運命は占われるものではない。

 選び取るものである。宿命は変わらないが運命は変えることができる。

向源寺へ――十一面観音に報告する

 腹が決まれば、行く場所は一つであった。滋賀県長浜、向源寺。国宝・十一面観音像の前に立ち、私は報告した。

「もう一度、肺の手術を受けます」

「逃げません」

「今日を生き切ります」

 十一面観音像に成功祈願をお願いした。

 祈ったのは、成功だけではない。一瞬一瞬を生き抜く気力である。

山師の思考法――最悪を想定し、今日を生きる

 私は半世紀以上、資源の世界で生きてきた。山師とは、未来を夢見る者ではない。最悪を想定し、それでも今日を選ぶ者である。

 ステージ4を克服するとは、延命ではない。今日を生きる選択を、毎日更新することである。

結び――「まだ戦える」という現実

 この原稿を書いている今、私は次の手術に向け、静かに準備をしている。恐れはある。だが、覚悟はある。ステージ4を克服する決心とは、勝利を信じることではない。今日を生きると決めることである。

 私は、まだ戦える。だから、今日を生きる。

 山師のがんファイターは、まだ終わらない。

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