トランプが武力介入によりマドゥロの身柄を拘束し米国がベネズエラを「運営」し石油産業を掌握すると宣言したことにつき、2026年1月5日付フィナンシャル・タイムズ社説は、今後の国際秩序に与える悪影響やベネズエラの民主化につながるか不明であることから、無謀な介入であると論じている。
トランプはかねてよりベネズエラへの介入意欲を示し、昨年後半にはカリブ海に艦隊を集結させ、麻薬を輸送しているとする小型船を爆撃し、海軍による準封鎖を実施し、ベネズエラの石油タンカーを接収した。従って、ベネズエラに対する米国の攻撃やマドゥロ夫妻の拘束は、全くの驚きという訳ではなかった。
衝撃的だったのは、トランプが「当面は米国がベネズエラを『運営』する」と宣言し、さらに米国石油企業が「進出し」石油産業を掌握すると公言した態度である。これは、トランプ政権の傲慢で利己的な性質を象徴している。ベネズエラは世界最大の石油埋蔵量を誇り、今回の介入は、まさに石油が大きな要因であるようだ。
南米主要国の主権を露骨に侵害する行為は、世界に暗い信号を送る。米国は偽善者であるだけでなく、トランプが「力こそ正義」の世界を自ら率先して導こうとしているという確信が世界で強まるだろう。
独裁者達はトランプの行動に勇気付けられるだろう。これが台湾問題で中国を大胆にさせるという見方は単純すぎるかもしれないが、例えば西側諸国がロシアのウクライナ侵攻に反対する形でグローバル・サウスの支持を集めることが、さらに困難になるのは疑いようがない。
ベネズエラ自体については、マドゥロ政権の終焉を嘆く者はいないとしても、悲しいことに、トランプはその後どうするかについてはほとんど関心を示していない。四半世紀以上にわたり、マドゥロとその前任者チャベスは残忍で腐敗した体制を支配してきた。経済は崩壊し、野党指導者や最大800万人のベネズエラ人も国外に逃れた。マドゥロ拘束作戦は教科書通りに計画され実行されたが、長年の苦難を経て、多くのベネズエラ人がこれを転機と期待しているだろう。
