2026年1月20日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年1月20日

 反米のロドリゲスにしては、信じがたい変節の様に思えるが、米中央情報局(CIA) は同人を「マドゥロ後」の指導者として推薦し、兄で国民議会議長のホルヘ・ロドリゲスは、米国と秘密裏に交渉していたとも報じられ、ある程度事前に交渉が進んでいた事が窺える。

国際法違反よりも深刻なこと

 トランプの国際法無視の影響は、地域諸国が最も憂慮するところとなる。麻薬対策を口実に、コロンビアやメキシコ、さらにはキューバに対する武力行使の可能性を示唆し、またグリーンランドの領有についても発言した。すなわち、今後も米国の勢力圏とする西半球では、このようなことがいつでも生じ得ることを意味する。

 トランプの発言は脅しの段階と思われるが、メキシコについては、麻薬組織対策が十分でないとして、領域内に武力攻撃を行う可能性も排除できない。今回の武力行使が国際法違反であることは明らかで、米国も敢えて国際法上の正当化の議論はしないであろう。

 米国が国際法違反を犯した例は、過去にレーガン政権のグラナダ侵攻や父ブッシュ政権のパナマ侵攻があった。その当時の米国政権も、これらは必要に迫られた例外的なケースとして位置付けていた。

 より深刻なのは、国内法執行を理由に武力を行使して一国の元首を拉致できるのであれば、ロシアがウクライナに対して、また中国が台湾に対して同様の行動を誘発しかねないという懸念である。

 今回の作戦はトランプのドンロー主義によるもので、米国が今後は西半球以外の問題には関心を無くすのではないかとの懸念がある。トランプの米国第一主義の基本は、米国の利益を守ることにあるので、西半球以外でも米国の利益を害する問題については関与し続けるであろう。

 台湾や日本の安全保障についても、それが米国の利益となることを常に理解させ、自らも応分の責任を果たす姿勢がますます重要に思える。

1918⇌20XX 歴史は繰り返す▶アマゾン楽天ブックスhonto
Facebookでフォロー Xでフォロー メルマガに登録
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る