2026年1月20日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年1月20日

 しかし、米国が根本的な政権交代を望んでいるかは不明だ。マドゥロは軍部の後ろ盾を得た腐敗した一派を率いていたが、その軍部は依然として健在だ。野党の多くは既に「新たな」秩序が旧体制とほとんど変わらず、単にトップが変わっただけに過ぎないことを懸念している。

 勝利宣言的な記者会見で、トランプはノーベル平和賞受賞者で野党指導者のマチャドを支持基盤が乏しいと一蹴した。新たな選挙についても、また24年大統領選の真の勝者であるゴンサレスについても一切言及しなかった。

 米国はここ数十年、事後の計画なき独裁者打倒の危険性を痛いほど学んできた。今回もまた同じ過ちを繰り返したように見える。米国と世界は、トランプが示した無謀さを後悔することになろう。

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ベネズエラとの事前交渉

 この社説は、トランプが国際法を無視し力が正義だとする今回の行動が同盟国やグローバル・サウスの信頼を損ない、中国・ロシア等の独裁国を勇気付けるものであること、また、トランプがベネズエラを「運営する」と宣言し、その石油資源を活用する等と宣言しつつも今後の民主化には関心を示さず、無謀な試みだと批判している。このような懸念は、多くの主要メディアや識者に共有されている。

 トランプのベネズエラ「運営」の内容については、ルビオ米国務長官が1月7日に、ベネズエラの再建と政権移行に向けて、3段階の方針を明らかにした。第1段階は「安定化」で、ベネズエラの原油の利益を米国が管理しベネズエラ安定化に使用する。第2段階は「回復期」で、ベネズエラ国内で和解のプロセスを開始し市民社会の再建を目指す。第3段階はベネズエラ国民自身が国家のあり方を決める「移行期」となる。

 作戦終了後、トランプは、既にルビオがロドリゲス副大統領と電話会談をしたことを明らかにした。攻撃直後は、米国を激しく非難したロドリゲスは、翌日暫定大統領に就任した後、SNSに、「トランプ大統領と手を取り、新しいベネズエラをつくりたい」と投稿し、対米宥和姿勢を示した。


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