2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年7月17日

 ただ、プーチン大統領は、再び自分が尊重されていると誤解してもいけないし、欧州経済の脆弱性に期待しすぎてもいけないだろう。フランスで見られたオバマ大統領やエリザベス女王への歓迎の声、そしてウクライナ新大統領が公然とEUの家族の一員として受け入れられたことは、欧州人の心が何処に向いているかをはっきりと示すものである。ロシア大統領への圧力を維持することは、今も重要である、と述べています。

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 6月3日にロシア抜きでG7首脳会議がブラッセルで開催された直後、フランスでは、そのロシアと西側との外交が再開されました。まず、6月5日、プーチン大統領は、パリに到着すると、空港内で、キャメロン英首相と会談しました。同時期、ケリー米国務長官は、ラブロフ露外相と、パリのホテルで、ウクライナの平和と安定のために米ロ協力が必要だと会談していました。5日夜、オランド大統領は、エリゼ宮で、プーチンと夕食を共にしましたが、その主題はウクライナでした。そして翌6月6日、プーチンは、ノルマンディーで、独メルケル首相、ウクライナのポロシェンコ大統領、そしてオバマ米大統領とも会話を交わしました。

 すなわち、G7では、ロシアのクリミア併合に対する制裁強化を謳いつつ、その後の2国間首脳外交では、ウクライナへの安定のためにロシアは欠かせないので、ロシアとの協力を模索しています。英独仏にとっては、「適度な制裁」で、自国経済を苦しめたくない、というのが本音なのでしょう。

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