2026年1月26日(月)

日本人なら知っておきたい近現代史の焦点

2026年1月26日

 さらにトランプは、このような不法移民の犯罪者たちが、金で雇われた反トランプの扇動者と出会ってより危険になったと主張して、ミネソタでのデモは、一般市民によって引き起こされたのではないと匂わせた。

 その上で、ICEを擁護して、「彼らがやっているのは、こういう危ない人々を扱う危ない仕事なんだ」「こいつらはみんな開かれた国境から入ってきた」「ベネズエラも刑務所を開けて中の連中を米国に送り付けて来た」「彼ら[ICE]がやろうとしているのは、こういった人々を国から追い出すことだ」などと説明した。

 そこからトランプは、ICEがヒスパニックの外見をしている人を不法移民と見なす場合が多いことを意識してか、ICEや国境警備隊にもヒスパニックは沢山いて、「私はヒスパニックが好きだ」「彼らは信じられないくらい素晴らしく、起業家精神もある」などと言い出し、果ては、ICEや国境警備隊はほとんどがヒスパニックだと述べた。

 トランプは、これまでの共和党大統領候補の中で最も多くのヒスパニック票を獲得しており、重要な支持層であるにも関わらず、ICEがヒスパニックをターゲットにしていることで支持者が離れていくことを懸念しての発言と思われる。国境警備隊は約半数がヒスパニックであるので、当たらずとも遠からずといったところであるが、ICEの方は、約2割なのでかなり言いすぎといえる。

経済政策の「成果」主張するも

 こうして13分間にわたって会見の冒頭で、ミネソタの不法移民が如何に危険かについて語った上で、ようやくその写真の束を投げ捨てて、おもむろに政権のここ1年の成果について語り始めた。最初に口にしたのは、バイデン政権が作り出したインフレをトランプ政権が見事に止めて、「スーパーハイな経済成長」を実現したということであった。

 中でもバイデン政権期にガロン当たり4ドルや5ドルに達したガソリン価格が自らの政権下では1.99ドルになっていると繰り返した。インフレに対しては国民との意識が乖離しており、トランプは広報のせいにしたが、苦しい主張となっていた。

 また、工場が次々他国を離れ、米国内に移りつつあり、巨額の投資が米国内の企業になされつつあるのもトランプ政権の功績であるとした。2年前には閉鎖寸前だったフォードの工場が、今は24時間休まず稼働していると述べた。また、日本や韓国をはじめとする国々に米国内への大量の投資を約束させたことも誇らしげに語った。

 ところがミネソタの事件がよほど気になっていると見えて、会見途中でも再度この話題に触れてICEは時にミスすることもあると認めた上で、乱暴な人々を相手にしているので仕方がないことだというのである。グッドさんの事件については、「ひどいことだと思う」と認め、「悲劇」だと語ったが、「そういうことは起こり得るものだ」とも述べた。

ミネソタでのICEに関する市民との対立は現在も続いている(Star Tribune via Getty Images /gettyimages)

 トランプ支持層の多くは、白人を中心として米国が構成されているという一昔前の人種観を持っており、不法移民と言えば浅黒い肌の色をした非白人とのイメージが強い。その意を受けたICEは、「見かけが不法移民」である人々を中心に逮捕していった。


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