最も重要なのは、トランプが民主化移行のタイムテーブルを示すことだ。米国は長期的にベネズエラ産石油を封鎖・管理するような役割を担うべきではない。市場価格が低迷し投資収益が乏しい状況が続けば、米国もその役割を望まないだろう。
投資家が自らの財産権が保護されると確信するためには、裁判所が将来の収用から守ってくれると信頼できなければならない。そのためには、一定程度の民主主義と法の支配が不可欠である。これに対し、旧体制は、武器を手にした者たちの忠誠を買うため、汚れた資金の流れに大きく依存している。
普通のベネズエラ国民は民主主義を切望しており、最近の世論調査によると、10人中9人が、2024年の政権によって盗まれた選挙結果を今すぐ尊重するか、1年以内に再投票を行うことを望んでいる。彼らの感情は無視できない。
ベネズエラの民主派野党指導者マリア・コリーナ・マチャドは国民的人気を誇り、ベネズエラにおける民主主義の擁護者に最も近い存在だ。トランプは石油取引への支持を得るため、彼女の協力を求めるだろう。
同時に民主主義と法の支配をベネズエラに回復させるため、彼女を支援すべきである。有権者と投資家が切望する長期的な安定への唯一の道は、これしかない。
* * *
民主化が容易でない理由
1月3日の米軍によるマドゥロ夫妻の拘束事件直後の記者会見でトランプは、安全で適切かつ思慮深い政権移行が実現するまで、ベネズエラを運営するつもりであり、また、石油産業を再建して石油を取り戻す等と述べ、当面ベネズエラの民主化よりも石油利権を獲得して石油産業の再建を優先することを明確にした。
上記の社説は、ベネズエラでの石油産業の再建と原油の増産に高い期待を持つトランプに対し、それを実現するためにもっとも重要なのは、投資家を保護するための法的整備であり、そのためには民主化と法の支配を確立しなければならないと諭して、トランプが民主化に取り組むよう説得しようとしている。
しかし、現体制が軍、警察、民兵組織を掌握している状況で、拙速な民主化は困難であり、これを強行すればかつてのイラクのような状況になってしまう恐れがある。また、そもそもベネズエラ原油の増産は米国石油企業にとりそれほど魅力のある投資先というわけではなく、この社説の主張は正論ではあっても、現実を踏まえた説得力に欠けるように思える。その理由を説明することは現在のベネズエラの状況を理解する上でも有益であろう。
