2026年2月4日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年2月4日

 米大使館人質事件の歴史的復讐をトランプ大統領に慫慂しているワシントンの勢力は、歴史的な災厄の教訓を無視している。つまり、79年のイスラム革命のルーツは、米国と英国が共同して起こした53年のクーデターにあるということだ。

 米国と同盟しているペルシャ湾岸のアラブ産油諸国は、長い間、イランを主な脅威だと見なして来たが、死に物狂いで米国の軍事介入を止めようとしている。長い間、これらの諸国にとりイランは敵だったが、イランのイスラム革命体制が崩壊しようとしているとは考えておらず、中東の米軍基地への報復やホルムズ海峡の航行が脅かされることを恐れている。

 これらの諸国は、米国のイランに対する軍事介入に関与しないことを明らかにしている。トランプ大統領は、これらの諸国の警告に耳を傾けるべきである。

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米国の軍事介入の可能性は低下

 上記の社説は、米国に対して79年の米国大使館人質事件の意趣返しでイランの反政府デモに対して無謀な軍事介入を行わないように諫めており、現実的な主張となっていることが特筆される。依然としてマスコミでは、デモ隊側の死者数が2000人~3000人に増えていると報道され、トランプ大統領がハメネイ師に対して最高指導者を辞任するよう求める等、イランが危機的状況にあり、「米国の軍事介入も間近ではないか」と煽る報道が多い中で、このフィナンシャル・タイムズ紙の社説は、冷静にイラン情勢を観察している。

 トランプ大統領は、一旦、イラン側が800人の処刑を止めたことを評価し、軍事的介入の可能性が低下したと思われている。1月16日の金曜礼拝で、ハメネイ師が米国を非難したことに対してカチンと来て、ハメネイ師の辞任を求めはしたが、米国の軍事介入の可能性は引き続き低下していると考えられる。

 本件社説は、米国が軍事介入を検討する本音は、米国大使館人質事件への報復だと指摘しているが、これは正しい認識だと思われる。やはり、米・イラン関係がここまで拗れているのは、米側の史観からすれば、米国大使館人質事件が原因であるのは間違いない。


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