2026年2月4日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年2月4日

 しかし、米国大使館人質事件に至ったイラン側の反米感情は、53年に当時のモサデク首相の英系石油会社の国有化により利権を失った英国が米国にイランの共産化の恐れを説いて、中央情報局(CIA)がクーデターでモサデク政権を倒したことにあるという指摘も、これまた全く正しい。

反政府デモはイスラエルのハイブリッド戦か

 イラン国内にイスラム革命体制と対峙出来る全国的に組織化された反体制勢力がなく、イラン国民はイスラム革命体制を嫌悪しているが、代わりに混乱状態に陥ることも望んでいないという指摘も正鵠を射ている。今回、レザ元皇太子の言動が頻繁に西側メディアで報道されているが、同元皇太子を受け皿にしたいという思惑がイスラム革命体制の崩壊を望む勢力(米国内のタカ派とイスラエル)にあるのであろう。しかし、王政復古の可能性はほとんどないであろう。

 そして、ペルシャ湾の対岸のアラブ産油諸国が、イスラム革命体制を脅威と見なして敵視しつつも、今回の反政府デモでイスラム革命体制が倒れることはないと考え、米国が軍事介入すれば米軍に基地を供与しているこれらの諸国がイランの報復の巻き添えになることを恐れ、米側に軍事介入を思い止まらせようとしている、という分析も正しいと思われる。

 今回の反政府デモは、イスラム革命体制打倒を狙うイスラエルのハイブリッド戦争のように思われる。その方法は、(1)経済問題からの国民蜂起、(2)少数民族による分離独立運動である。

 日本では報じられていないが、1月9日、イラク国境から浸透しようとしたクルド人武装勢力と革命防衛隊が交戦したというロイターの報道もあり、今回の一連の出来事は、やはり、イスラエルが仕掛けたのではないかと想定される。

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