2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2014年7月14日

 これはどちらかと言えば、新興国的というよりは経済的成熟国としての特徴を示している。1970年代で一度、高度成長を終えたブラジルは、やはり狭義の純粋な新興国とはいえない、という事情もあるだろう。たとえば、ロンドン五輪が英国経済(先進国経済)に与えるインパクトの折り込みはより早めになるだろうし、もっといえば、分母が大きいだけに限定的になる。実際のブラジル経済はその中間といったところで、事実、2000年以降のブラジル経済は、その波は激しいながらも、均せば4%ほどと着実に成長してきた。もちろん紆余曲折はあり、2009年にはリーマン・ショックの影響も大きく受け-0.33%となったものの、そのギャップは2010年の+7.53%とみごと倍返しを果たしてもいる。

 しかしながら、2011年以降の経済成長率は、+1~3%の間で推移している。これに対しての見方は、大きく2つに分かれると考える。

 ひとつは、(1)W杯、そして五輪の効果は思ったほどには発揮されていない、という見方だ。たとえば、具体的にはインフラストラクチャーの完成が遅れている、といったことが象徴的なところだ。言い換えれば、ブラジルは新興国的であるが、効果が出し切れていないということになる。

 もうひとつは、(2)すでに大部分を織り込んでしまっていて、伸びしろは限定的、という見方だ。これは、新興国的というよりはより成熟国的な特徴が出ている、と言い換えてもいいかもしれない。もしそうであれば、プラスのサプライズがない以上、このままの水準で推移するか、もしそのプレミアムが剥落したと判断されれば、いまの水準よりも下がることも十分にありえるだろう。

 もし、いまの水準以上の経済成長を目指せる条件を考えれば、(1)であれば、リオ五輪に向けて、その懸念の解消によって伸び余地は出てくるだろう。もし(2)であれば、リオ五輪以降の経済成長プランが、より重要な要素になるだろう。


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