2026年2月3日(火)

プーチンのロシア

2026年2月3日

 ソ連政府は、曲がりなりにも犠牲者数を公表するだけの責任感を有していたが、ロシアは、開戦初年の22年9月にその時点での戦死者5937人という数字を発表した後は、公式にも非公式にも犠牲者の数字を一切発表していない。それどころか、兵士の家族に対しても実態を必ずしも全て通報していないと目されており、ロシア国防省から生死の情報を得られず、業を煮やした家族がウクライナ政府に問い合わせる例も多く、ウクライナ国防省は情報提供サービスを行っている。

北朝鮮軍の参戦と兵士の犠牲

 韓国の国家情報院が25年4月に公表した報告によれば、24年11月にロシア側に立って参戦して以来、北朝鮮は、二度にわたって合計で約1万5000人を派兵し、そのうち戦死傷者数は、約4700人に上っている。当初、露朝両国は、北朝鮮軍の参戦を国際社会から隠ぺいするために、北朝鮮兵士に偽のロシア身分証明書を支給するとともに、放置された戦死者の遺体の顔は、身元を隠すためにわざと傷つけられていたと言われている。捕虜になった北朝鮮兵士は、ウクライナ軍の尋問に対して、ウクライナとの戦闘に従軍するとは知らされず、訓練だと説明されて戦場に連れて来られたと証言している。

 北朝鮮政府は、参戦の見返りにロシアから経済・軍事援助を受けることになっていると言われているが、その支援が実際に約束通りに供与されているかどうか、また、従軍している末端の兵士の家族にまで補償が行き渡っているかどうかは、不明な点が多い。軍や兵士の中には、参戦に対する見返りに対して不満が高まっているとも言われており、事態を重視した金正恩総書記が戦死した兵士の遺族を慰問する場面が25年8月に国営メディアで殊更に報道された。

 北朝鮮政府も軍当局もロシアに派兵された兵士の数や犠牲者の数を発表していない。

ウクライナ軍兵士の犠牲

 もちろん、戦争が継続している最中に自らの軍の犠牲者数を対外的に公表することは、敵に戦力状況や軍の弱点を知らしめることになるので、いずれの政府・軍も発表を制限すること自体はよくあることである。ウクライナ政府・軍も犠牲者数は原則として機密扱いにしており、政府首脳が時々明らかにするだけである。

 例えば、ゼレンスキー大統領は、25年2月、ウクライナ軍の戦死者は4万6000人以上、負傷者は約38万人と認めた。因みに、前述のCSISは、ウクライナ軍の戦死傷者は50~60万人という推計を今年1月に公表している。


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