「シシャモがいるから獲らせろ!」ではなく、資源調査をしてその結果十分な資源が確認できれば漁獲枠が発給される。こういった資源の持続性を考えた迅速な対応が必要なのです。昨年(25年)末に漁獲枠が足りなくなって、「調査」という名目でスルメイカの漁業を再開したケースとは「全く」事情が異なるのです。
日本のシシャモのケース
それでは、ほとんど獲れなくなってしまっている日本のシシャモの例を検証してみましょう。まず科学的根拠に基づいたTAC(漁獲可能量)自体が設定されていません。厳しい罰則がない自主的な漁獲枠の末路は同じです。
資源がほぼ壊滅状態となっている産卵期に漁獲する秋田のハタハタがその代表例です。資源管理が機能していないので、1980年前後には最大2万トン近く漁獲されていましたが、今では限りなくゼロになってしまいました(24年約100トン)。
次にシシャモ資源の回復手段として挙がっているのがふ化放流です。ふ化した稚魚を放流することでどれだけ資源量が増えるのでしょうか? 研究目的としては意義がありますが、儀式的なものに過ぎません。
そんなことよりも、漁獲量を制限して自然に産卵できる量を増やす。これに尽きます。北欧・北米・オセアニアといった水産業を成長産業にしている国々では、資源管理の手段は科学的根拠に基づく資源管理一択です。シシャモを稚魚放流によって回復することは選択肢にさえならないのです。
ふ化放流については、自然産卵を重視し資源が持続的なアラスカのサケの資源管理が象徴的です。そこではふ化放流を実施していますが、あくまでも補助的な役割という位置づけです。エスケープマネジメントといって、産卵に必要なサケを遡上させた後にふ化放流のサケを確保するというやり方です。
つまり、アイスランドのシシャモ資源管理も同じで、産卵に必要な資源(産卵親魚)を確保させることが資源管理の根幹という点で共通しているのです。
なぜアイスランドでは今年(26年)のシシャモ漁が、なぜ漁期が始まる前なのかご理解いただけたでしょうか? 対照的に日本のシシャモ漁は、従来のやり方で大漁になることはありません。それどころか絶滅に向かっています。
なお、これは日本とアイスランドのシシャモは種類や習性が異なるという類の話ではありません。資源管理の違いの話です。
時間の経過とともに100%の確率で「なぜ科学的根拠に基づく資源管理」をしてこなかったのかと後悔することになります。時計の針は元に戻りません。気づいてそれを政策に反映させるべきタイミングは今なのです。
