2025年12月5日(金)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2025年10月2日

 秋の風物詩であるサンマ。近年は、不漁という報道が続いていました。もともと1尾100円程度で、当たり前のようにお店に並んでいた大きなサンマが、80グラム程度の見た目がサヨリのように細くて脂がないのに、その何倍もの価格で売られるようになっていました。

(筆者撮影)

 ところが今年は、140~150グラムどころか200グラムあるサンマも売られるようになりました。水揚げは近年になく好調で、48時間の休漁も行われました。

 それでは一体、なぜ漁が上向いているのでしょうか? その理由を理解していないと、また獲れなくなる事態を繰り返してしまいます。

要因は「黒潮大蛇行」ではない

 サンマが獲れるようになった原因として「黒潮大蛇行」がなくなったからという報道を見かけます。黒潮大蛇行は1985年以降で4回起きました。そして4回目が2017年から7年以上続き、今年(25年)の5月に解消しました。

 様々な魚が獲れなくなっています。その理由として「海水温上昇」「外国船が悪い」「クジラが食べてしまう」といった理由が3点セットのように出てくるのですが、それらに加えて出てくるのが黒潮大蛇行のせいでした。黒潮大蛇行の解消後にサンマ漁がはじまり、漁が上向いているので、理由としてうまくつながったように報道されています。

 上図はサンマの漁場で、下図が黒潮大蛇行の動きを示しています。上図の水色とピンクの境目がほぼ排他的経済水域(EEZ)です。

 昨年(24年)度のサンマの漁獲は台湾・中国・日本などの漁獲合計で93%がピンクの公海でした。今年も、8月の解禁当初から日本漁船も公海に出漁し、他国の漁船が見えるような漁場で操業していました。

 したがって、漁獲量の大半が公海上であることに変わりありません。両方の図を比べていただければお分かりと思いますが、ピンクの公海での漁場と、黒潮大蛇行が影響する海域と漁場の位置関係は遥かかなたという関係です。


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