もちろん、全く影響がないとは言いませんが、豊漁の理由に結び付けるのは無理があるのです。
上のグラフは、黒潮大蛇行と日本の漁獲量推移を示したものです。赤丸が、黒潮大蛇行が発生していた期間となります。海水温や海流が漁獲量に影響を与えるのはある意味当たり前です。
黒潮大蛇行により、漁獲量が増えた魚種もあれば、減った魚種もあるでしょう。しかしながら、全体の漁獲量推移で見てみると、プラマイゼロどころか、全体の漁獲量が減り続けているので、漁獲量との相関性を見つけるのは難しいのです。
太平洋のマサバは不漁が続く
黒潮大蛇行による影響を、都合よく解釈してはいけないことは、不漁が続いて深刻になっている太平洋のマサバ漁と比較するとよくわかります。仮に黒潮大蛇行の解消でサンマ漁が上向いているとしたら、なぜ太平洋のマサバ漁では深刻な不漁が続いているのでしょうか?
上図はマサバ(太平洋系群)の分布図です。サンマの漁場が公海主体なのに対し、マサバの漁場は日本のEEZ内が主体です。また、黒潮大蛇行が影響している海域も漁場に含まれます。つまり、サンマよりはるかにマサバの方が黒潮大蛇行の影響を受けやすいのです。
しかしながら、黒潮大蛇行の影響がほぼないサンマ漁が上向き、影響があってもおかしくないサバ漁は不漁のままというのが現実なのです。


