サンマ漁が上向く本当の理由
それではなぜサンマ漁が上向いているのでしょうか? マスコミで報道されていませんが、理由として考えられる、公海で初めて起きたことがあります。
それは昨年(24年)公海でのサンマ漁が漁期中に止まったことです。サンマの漁獲枠13.5万トンへ漁期中に漁獲量が届いたためです。
漁獲割合は107.6%と、100%を超えてはいますが、枠が無ければその後に数万トン漁獲されていた可能性が高いです。科学者がいう漁獲枠は7.4万トンだったので、13.5万トンという公海の枠自体が大きすぎてはいました。それでも漁が止まったことは資源管理にとって非常に意義があります。
魚の資源量は環境によっても凸凹します。しかし凸の時に増えた分を獲ってしまえば一向に資源状態はよくなりません。
一方で凸の時に獲り残されたサンマが、その後産卵したり、大きくなって漁場に再来遊したりすれば資源量にとっても、漁獲量にとってもプラスになります。これは例えてみれば、数万トンという莫大な量の魚を放流したようなものです。
今期(25年)の公海でのサンマの漁獲枠は前年比10%減の約12万トンです。そしてすでに公海の枠は今年も満了しているようです。今年もサンマを獲り残していれば、来期の資源にとってもよい影響がでるでしょう。
ただしここで問題点があります
しかしながら台湾・中国そして日本とサンマの主要漁業国の公海でのサンマ漁が漁獲枠を満了して止まっても、日本漁船は日本のEEZ内に回遊してきたサンマを漁獲枠内で獲ってよいことになっています。
漁獲枠は2重構造になっています。日本も含めた各国の枠の合計が20万トン(25年)、その中で日本は公海と日本のEEZ内合わせて約8万トンの枠があります。
昨年(24年)実績(3.9万トン)の約2倍なので、日本にとって有利であり、外交上は良いのですが、問題は資源に悪影響を与えてしまう場合です。つまり、せっかく回復し始めた資源を日本が自らつぶしてしまう場合です。科学者が言う7.6万トンよりも日本だけで多い漁獲枠になっていますので枠が大きすぎるのです。
23年以前は、そもそも枠が実際の漁獲枠より小さかったので、漁獲枠自体意味がなく議論の対象になりにくかったはずです。しかしいざ枠に達して操業を停止するとなると、なぜ同じ資源なのに日本はサンマを獲り続けられるかと不満を抱く国も出てくることでしょう。

