77年の200海里漁業専管水域の設定以降の歴史をたどると、実際の数量より少なく申告して漁獲量を増やして乱獲につながってきたケースはいくつもあります。万国共通で、漁獲枠に達してしまうと何とかして獲り続けようとします。
そこでこれからは、各国に漁獲枠を守ることを徹底してもらうことも交渉の要素に加わってきます。そして、各国の了承を得て資源を持続的にしていくためには、大きな漁獲枠を持つ日本の出方も大きく影響してくるはずです。
誤りを繰り返さないために
過去の歴史をたどると、日本ではせっかく回復した資源をつぶしてしまった例が数多く存在します。左は秋田のハタハタの例です。資源量が激減してしまい92年より3年間禁漁。禁漁で資源が少し回復したものの、資源管理制度の不備で獲り過ぎてしまい元の木阿弥となりました。
昨年(24年)は、年間17トンと、ほぼゼロに近い数字で漁獲どころではなくなっています。明らかに原因は乱獲です。
右のマダラは、11年に起きた東日本大震災により一時的に漁が止まり資源も回復しました。しかしながら漁獲枠がなく、幼魚まで漁獲してしまう漁業は変わらずで、秋田のハタハタ同様に資源量は元の木阿弥となり、今では震災以前よりも悪くなってしまいました。
世界に広く目を向けて、水産業を成長産業にしている国々と比較すれば、日本と世界の資源管理制度の常識が大きく異なることに気づくことになります。
政府は国際的にみて遜色がない資源管理制度のシステムを導入することを目指しています。しかしながら、資源管理に関する正しい情報が不足しているため誤解が少なくなく、漁業者関係者の方々が自分で自分の首を絞めてしまうケースが見受けられます。
世界では水産業は間違いなく成長産業です。そして水産物の需要は人口増加もありさらに増えていきます。そういった環境下なので、科学的根拠に基づく資源管理により、水産物を持続的にしていくことが何よりも重要なのではないでしょうか。

