2026年2月13日(金)

インドから見た世界のリアル

2026年2月13日

 EUは、経済上の対米依存を見直し、より多角化した政策を追求し始めた。そこで目を付けたのがインドとの関係であった。

 これまで、インドとEUの自由貿易協定の交渉は、なかなか前進しないでいた。しかし、対米関係の変化を受けて、インドとEUは、より強く協力する気になったのである。

 そして、1月27日、インドとEUは、自由貿易協定に合意した。世界の国内総生産(GDP)の2割を超える巨大経済圏ができる合意であった。

ナレンドラ・モディ首相公式X 写真を拡大

 米印貿易合意は、それから1週間もたたない2月2日である。インドがヨーロッパと貿易促進に進み、米印の貿易の重要性が落ちると、結果としてアメリカの利益が損なわれる可能性が出始めていた。そこで、アメリカも米印貿易合意に踏み切ったものとみられる。

 このような経緯を見ると、インドは交渉を急がず、待つことによって、EUとアメリカ、両方との合意を取り付けるにいたったことになる。交渉が長引いたために生じた損失はあるとしても、結果から見れば、御の字であった。

インドの強み②ピンチになるとトップダウン

 インドが発揮したもう一つの強みは、合意発表の経緯から読み取れるものである。今回の合意をみると、思い浮かぶのは、なぜトランプ大統領とモディ首相がSNSで発表するのが先で、詳細が発表されるのが遅れ、さらには詳細が修正までされているのか、である。これは、アメリカのトランプ政権だけでなく、インドのモディ政権もまた、トップダウン型に決めるためにおきたものとみられる。

 これは、一見するとモディ政権だけにみられる特徴のように見えるが、実際には、インド的なものである。そもそもインドでは、多種多様な人々が自分の言いたいことだけ永遠と述べて、何も決まらない状況が起きやすい。

 筆者もインドの国際会議に出席するが、発表者は自分の言いたいことだけ考えていて、相手の話を全く聞いていないことが多々ある。そういった国の中で、インドの指導者は、政策を遂行しなければならない。どうするか。

 極端な例は、戦争の時に指導者はどう人々をまとめ、勝つことができるのだろうか。実際にインドが経験した戦争をみてみると、解決策がみえてくる。トップダウンである。

 過去、インドが勝った戦争として1971年の第3次印パ戦争と、99年のカルギル危機がある。この時、インドの指導者はどうしたか。


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