2026年2月13日(金)

インドから見た世界のリアル

2026年2月13日

 71年の第3次印パ戦争の時、当時のインディラ・ガンジー首相は、突然、お茶会を始めた。首相と、軍の指導部、大臣数名で集まり、お茶と茶菓子を食べながら、そこで全て決めてしまい、大勝利にもっていったのである。

 そして、戦争が終わると、お茶会も終わった。まさに臨時に設定された、お菓子付き最高意思決定機関であった。

 99年、カルギル危機が起きた時、それは再現された。71年の時よりは、意思決定のプロセスが整っていたにもかかわらず、当時のバジパイ首相は、また、お茶会を始めたのである。そして、また勝利した。そして、戦争が終わると、お茶会も終わりである。

 モディ政権は、このお茶会のようなシステムを平時に持ち込んで、常態化した政権といえる。モディ政権を批判する人は「モディ独裁」ともいう。この決定過程は、モディ首相が関係する数名と話をして決めてしまう方式とみられている。

 今回の米印貿易合意も、米印関係が悪化する中、モディ首相は、トランプ大統領と直接、電話で話し、大枠を決めてしまった。だから、トランプ大統領とモディ首相がSNSで合意を発表した後、大臣や官僚たちが詳細を話し合っている、というわけである。

 まさに、インドの特徴、ピンチになるとトップダウンというパターンが米印合意をもたらしたといえる。

日本への教訓

 このようなインドの交渉スタイルは、日本にどのような教訓をもたらすだろうか。重要なのは、インドとの交渉では、長期戦は覚悟の上で急がないこと。でもチャンスを見つけたら、素早く動ける体制は常に保持しておくこと、ということになろう。

 例えば、2月8日の総選挙で、高市早苗政権は国民の強い信任を得た。当然インドのモディ首相も、選挙での圧倒的な勝利に驚き、尊敬の眼差しを持って、高市首相と関係を築きたい、と思っている。

 トップダウン型に動くためには、首脳同士の関係が欠かせない。こういったチャンスに、すぐインドとコミュニケーションをとり、「インドを重視している」といったメッセージを送り、インドのプライドに響くやり方が必要だ。

 課題は、素早く動くためには、準備と柔軟性が必要なことだ。よく準備して、長く待つ。一見して矛盾しているようにみえるこの2つのコンビネーションが、インド対策では重要といえよう。

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