2026年2月28日(土)

トランプ2.0

2026年2月28日

トリプルパンチ

 トランプ関税「違憲」の判決を下されると、トランプは早速、1974年通商法122条に基づいて10%の関税を課す大統領令に署名し対策を講じた。秋の中間選挙を控えたトランプは、MAGAに「心配するな。私には代替案がある」というメッセージを送ったのだろう。米連邦最高裁判所に「自分が負けた」という印象をMAGAに与えたくなかったのだ。

 また、関税収入の還付についてだが、トランプ政権が徴収した1340億ドル(約20兆円)の関税収入を輸入業者に還付すれば、トランプは「完全な敗者」とみなされる。となると、還付の可能性は低いかもしれない。

 さらに、3月末から4月初旬に中国で開催予定の米中首脳会談に、トランプは関税措置において「敗者」という弱い立場で臨みたくないだろう。そのためにも、通商法122条を使い、貿易相手国の不公正な貿易慣行に対して制裁措置を科す301条も必要とするようになるだろう。

 トランプが、通商法122条を利用して10%の関税を課すと発表した翌日、突然、最大税率15%までに引き上げたのは、MAGAや中国を意識したとみることができる。通商法122条では、関税措置は最長150日までの時限措置で、延長には連邦議会の承認がいる。ということは、関税措置は7月下旬まで有効であり、それから中間選挙まで関税措置を維持するためには与党共和党議員の協力が不可欠だ。

 ただ、共和党の現職議員は今回、トランプの圧力に屈して彼の関税措置を支持するのだろうか。前述の通り、米連邦最高裁判所は、トランプ関税に「違憲」判決を下し、以前とは状況は異なっている。

 米紙ワシントン・ポスト、米ABCニュースおよび調査会社イプソスによる全国共同世論調査(2026年2月12日~17日実施)によれば、関税に対して「支持する」は34%、「支持しない」は64%で、「不支持」が「支持」を30ポイントも上回った。特に、黒人は「支持」15%、「不支持」82%、ヒスパニック系(中南米系)は「支持」26%、「不支持」72%で、全体の数字よりも8~18ポイント「不支持」が高い。

 一方、トランプのインフレに対する対応についても、「支持する」32%、「支持しない」65%で、こちらも「不支持」が「支持」よりも33ポイントも高かった。なかでも、黒人は「支持」11%、「不支持」85%、ヒスパニック系は「支持」25%、「不支持」74%で、「不支持」が9~20ポイントも全体の数字を上回った。

 次の中間選挙では関税措置やインフレが影響して、共和党議員は25年大統領選挙でトランプが獲得したヒスパニック系と黒人の票を減らすだろう。選挙区の白人のMAGAに支えられている共和党議員は再選の可能性が高いかもしれないが、少数派の票が勝敗の鍵を握る選挙区では、共和党議員はトランプに服従したとしても、本選で民主党候補に苦戦を強いられることが予想される。

 加えて、トランプと衝突して今年1月5日に辞職したMAGAのスーパースターだったマージョリー・テイラー・グリーン元下院議員が指摘したように、エプスタイン事件により女性票までが共和党から逃げるだろう。共和党議員にとってはトリプルパンチだ。


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