長寿という名の「裏ルート」を見つけた男
最後に、面白い事実を付け加えよう。俺の睡眠パターンは、実は「90歳以上の長寿者」によく見られる特徴と一致している。深い睡眠を短時間で集中的に確保し、心拍を低く保ちながら、自律神経のバランスを維持する。この「省エネかつ高効率」なエンジンこそが、がんという強敵を相手にしながらも、俺を今日まで走らせてきた原動力なのだ。
データが示す結論は一つ。「身体は、戦闘開始の合図を待っている」。
明日の朝、俺は静かに目を覚まし、鏡の中の自分と対峙する。その瞳には不安ではなく、冷静な計算と、生きることへの淡々とした執着が宿っているはずだ。山師よ、ガンファイターよ。お前の背中には、完璧にメンテナンスされた「データ」という名の援護射撃がついている。胸を張って、手術室という名の荒野へ向かうがいい。
1年戦争、最終局面
この1年、俺はがんと戦ってきた。大腸。肝臓。左肺。
そして今、右肺の最後の腫瘍。ここを突破すれば、長かった戦争は終わる。もちろん未来は分からない。だが山師は知っている。
未来は常に不確実だ。相場も、人生も、そして病気も。だからこそ俺は、今日できることをやる。体を整え、眠り、静かに呼吸する。
そして明日、手術室の扉をくぐる。硝煙の匂いのする戦場へ。だが心は静かだ。胸の奥で、鼓動がゆっくりと刻まれている。
まだ戦える。
