2026年3月10日(火)

21世紀の安全保障論

2026年3月9日

 両者が急接近する流れに加え、昨秋から続くトランプ氏の対中姿勢を踏まえれば、中国という最大の脅威に直面する日本が、米国をインド太平洋、極端に言えば東アジアにつなぎ留めておく最後のチャンスが19日の日米首脳会談だと言っていい。

同盟国としての役割を明確に

 ではどうすればいいのか。そのヒントはトランプ氏のグリーンランド領有発言にある。トランプ氏はロシアと中国が手を組み、北極圏に軍事拠点を築き、北極海に眠る天然資源を占有することを危惧し、米国がグリーンランドを必要とすると主張している。高市首相はトランプ氏の北極海に対する懸念を強く支持するとともに、北極海と同じように、安全保障の視点から東シナ海と南シナ海を中国の海にさせてはならないことを説くことが大切だ。

 米国は1月に公表した「国家防衛戦略」で、南西諸島から台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」に沿って対中防衛体制を構築すると明記しており、その目的を達成するために日本は独自の判断と努力で防衛力の強化に取り組み、アジアの米同盟国としてアジアでの責任を主に負う姿勢を明確にする必要がある。

 また高市政権は、防衛装備品の輸出制度を柔軟に見直し、同盟国や同志国に対し、より広範な武器等の移転を可能にする方針であり、この分野に加え、米国の製造能力が疲弊した艦艇の修理などの造船分野を含め、日本が米同盟国との連携協力を主導し、米国を補完する態勢の構築に尽力することを約束してもいいのではないか。

 もう一つ重要なことは、南鳥島(東京都)沖の深海に眠るレアアース(希土類)だ。政府は来年2月から本格的な試掘に着手する計画だが、ここを日米で共同開発することを提案する必要がある。精密誘導兵器はもとよりハイテク製品に欠かせないレアアースの脱中国依存は、戦略物資の輸出を武器化する居丈高な中国に対抗するためには不可欠な手段であり、トランプ氏も提案を歓迎するはずだ。

 中国は昨年12月、沖縄の近海で空母「遼寧」を含む大規模な軍事演習を行い、今後も軍事的な対日圧力は高まり続ける。日本は米国との同盟を堅持し、強化するとともに、より多くの同志国との連携を強めることでしか自らの安全を守り抜く手立てはない。イラン攻撃後に想定される米中接近という事態だけは絶対に回避しなければならない。

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