2026年3月10日(火)

トランプ2.0

2026年3月9日

なぜ出口戦略がないのか?

7日、マイアミに向かう機内で取材に応じる、トランプとヘグセス(AP/AFLO)

 トランプは当初、イランの体制転換が目的であると述べたが、国防総省のピート・ヘグセス長官は「体制転換は目的ではない」と記者団に語った。一方、マルコ・ルビオ国務長官は、確固たる証拠を示さずに差し迫った脅威があり、米国がイランに先制攻撃をする必要があったと攻撃を正当化している。しかし、ルビオが記者団に対して必死に説得している様子を観ると、「後付けの理由」のようにも聞こえる。

 しかも、この政権はイラン攻撃に対して明確な出口戦略を持っていないように見える。その見えない理由は、トランプが国内事情を注視しているからだろう。

 石油タンカーがイラン攻撃以前と比較し、ホルムズ海峡を航行できない状況の中で、米国内のガソリン価格の上昇と、それが引き金となる物価高および原油を原料として作られる石油製品の価格高騰がもたらされれば、秋の中間選挙で連邦議会における多数派を失う可能性が高まる。米国の有権者は、特にガソリン価格に敏感に反応する。

 昨年11月の東部ニュージャージー州と南部バージニア州での知事選では、物価高が主要な争点になり、民主党は「アフォーダビリティ(手の届く範囲の価格)」に焦点を当てて両州で勝利を収めた。

 2024年米大統領選挙で、ヒスパニック系(中南米系)や黒人の男性の中には、民主党のカマラ・ハリス候補(当時、副大統領)が女性であることを理由に、白人のマッチョな男性であるトランプに投票した有権者がいた。つまり、トランプは民主党の少数派の票を奪ったのだ。

 しかし、物価高が彼らを直撃したため、そうした人々は上記の知事選では2人の民主党候補(白人女性)に投票をした。トランプは物価高を注視しながら、停戦をして「勝利宣言」を行うタイミングをみているのだ。

 トランプにはデッドライン(期限)がある。それは11月3日の中間選挙ではなく、米国建国250周年を迎える7月4日である。トランプはこの日に、大々的な祝賀の式典を催す予定でいる。この日までイランとの戦争を続ける訳にはいかない。

 さらに、自分と関係があるエプスタイン文書が出てきた場合は、米国民の目を逸らすために、イランとの戦争を継続する可能性がある。トランプは国内の物価高とエプスタイン文書の双方を強く意識しているのだ。


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