2026年3月17日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年3月17日

核実験は米国のプラスにはならない

 米国が保有する核兵器には70年代、80年代に製造されたものが多く、それらの安全性と有効性をどのように確保するかの論点も議論されてきた。総じて言えば、米国では長年、民主党と共和党との間で核験に関して相違、対立が続き、ライバル国が隠蔽して核実験を行う蓋然性をどう考えるか、核実験以外の方法で安全性と有効性を担保できるかの二点が争われてきたが、このところ、議論の焦点が「核実験禁止にコミットするか」から「核実験を再開するか」にシフトしている。その背景には、大国間競争の激化と新たな中国の台頭がある。

 核実験を禁止するCTBTは発効要件が満たされていないため、法的には発効していないが、「核実験を行わない」という事実上の規範が存在していることも事実である。だからこそ中国は、「核実験を行わない」という「モラトリアム」を維持する政策を取っている。核実験疑惑の真相はわからないが、少なくとも公に核実験はできないというのが現状である。

 この社説も引用するハドソン研究所での講演(2月17日)においてヨー国務次官補は「大統領が述べた通り、米国は『同等の立場』で実験を再開する」と述べ、それは「アイビー・マイクのような大気圏実験」に戻ることを意味しないと補足した。ただ、核実験のタブーを米国が自ら壊すことは、米国にとってプラスになるとは思えない。

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